呼吸器内科

治療方法

咳嗽

 咳は呼吸器症状の中で最も多い症状です。発症から3週間以内の咳は急性咳嗽、3~8週間は遷延性咳嗽、8週間以上続く咳は慢性咳嗽と定義されています。
 急性咳嗽の多くは呼吸器感染症が原因となりますが、慢性咳嗽となると原因疾患は、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、副鼻腔気管支症候群(気管支拡張症、副鼻腔炎)、慢性気管支炎、薬による副作用、心因性による咳等多岐にわたります。
正しい診断・治療が行われないと長引く原因となります。当科では血液検査や呼吸機能検査、画像検査を行うことによりまずはしっかりとした診断をつけ、適切な治療を行うよう心がけています。

呼吸器感染症

 呼吸器感染症は、ウイルスや細菌が気管支や肺に感染することによって生じる急性炎症です。高齢者では誤嚥性肺炎も生じやすく、わが国の統計では死亡率は常に上位となっています。
 肺炎は、血液検査や胸部X線検査に加え、痰の中の細菌検査を行い診断します。抗菌薬で治療を行いますが、年齢や体の中の酸素量、脱水症、血圧、意識状態を組み合わせて重症度を判定し、外来で治療するか入院で治療するかを判定します。
また、65歳以上では肺炎球菌という細菌による肺炎が最も頻度が高いです。肺炎球菌に対しては、5年毎にワクチンを接種することによって予防する事が出来ます。希望の場合は外来にて相談してください。また、ワクチンには各自治体による助成があります。助成は各自治体によって異なりますので事前に確認してください。

肺癌

 日本における2013年の統計では、全死因の第1位が悪性新生物であり、悪性新生物の死亡者数では肺癌が第1位となっており更に増加傾向です。
  当科では、高分解能CT検査や気管支鏡検査等により早期発見・早期診断を心がけています。
肺癌の治療には、化学療法・手術・放射線療法があります。化学療法に関しては分子標的療法も含めて当科で行うことが出来ます。安定していれば外来で治療を継続していくことが可能です。しかし、当院では2015年度時点で肺癌の手術・放射線治療を行うことが出来ません。そのため、適応のある患者様には高度医療機関へ治療を依頼しています。

気管支喘息

 長期に咳が続いている場合、原因として気管支喘息が隠れている可能性があります。気管支喘息は可逆性の気道狭窄と定義されているように、きちんと診断・治療すれば症状の改善を得ることが出来ます。
  当科では、喘息予防・管理ガイドラインに則り、健常人と変わらない日常生活が送れること、十分な夜間睡眠、喘息発作の予防、喘息死の回避等を目標として治療を行っています。また、気管支喘息はステロイド吸入療法により死亡率が大幅に低下しましたが、現在でも1500人/年以上の方が喘息発作により亡くなられています。そのため、発作が起こらないように普段からコントロールを行う必要があります。長期管理としては、ステロイドの吸入療法を中心に行っていきます。また、発作が起こってしまった場合は急に症状が進行することがあるため、すぐに外来受診し、適切な治療(ステロイドの点滴や、気管支拡張薬の吸入)を受けるようにしてください。

COPD

 肺の生活習慣病ともいわれているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、長期的なタバコの影響により生じる病気です。病状が進行するまで症状が出にくいため気付かずに生活している事が多いですが、70歳以上では6人に1人がCOPDといわれるほど、よくある病気です。現在は禁煙していても過去に長期の喫煙歴があり、労作時の息切れを感じている場合は一度ご相談ください。
診断は呼吸機能検査、画像検査にて行います。治療の基本は禁煙療法(当院では循環器外来にて禁煙外来を行っています)ですが、気管支拡張薬の吸入療法に加え、呼吸リハビリテーションを行うことにより生活の質を落とさないように治療していきます。進行した場合は在宅酸素療法が必要となる可能性があります。

検査

検査種別 内容
放射線画像検査 胸部レントゲン検査、CT(高分解能含む)検査 など
生理検査 呼吸機能検査 など
内視鏡検査 気管支鏡検査 など