小児消化器外来について

小児の腎臓疾患について

小児の消化器症状には繰り返す腹痛、吐き気・嘔吐、原因不明の血便、長引く下痢、便秘など様々な訴えがあります。また慢性的な腹痛の原因としてピロリ菌感染症や過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアという消化管の動きのバランスが悪くなる病気などで悩むお子さんが増えているといわれています。このような症状がみられる子の中には炎症性腸疾患と言われる難病指定の病気などが隠れていることもあり、症状に対する適切な診断や治療が必要となります。一方で小児においてこのような消化器領域を専門とする医師は国内では数が少ないと言われております。当院では上記のような消化器症状に対する専門の医師が内視鏡検査をはじめとする様々な検査を行うことで原因をみつけていきます。以下の様な症状で悩んでいる方は当院小児消化器外来にご相談ください。検査・治療は当院の消化器内科と連携して行なっています。

  • 腹痛
  • 吐き気・嘔吐・げっぷ
  • 血便
  • 長引く下痢、便秘

当院で行える検査

  • 食道,胃,十二指腸の上部消化管内視鏡検査
  • 大腸,終末回腸の下部消化管内視鏡検査

内視鏡治療

  • 内視鏡的ポリープ切除術

炎症性腸疾患について

炎症性腸疾患は腸に炎症を起こす病気のことで、主に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」という2つの疾患があります。これらの炎症性腸疾患は原因がはっきりとはわかってはいないため、発症すると炎症が出たり引いたり(再燃期と寛解期)を繰り返すため、長期間の治療が必要な慢性の病気です。

主な症状

潰瘍性大腸炎では長引く腹痛や下痢・血便などの症状があります。クローン病ではさらに発熱や体重減少・成長障害、繰り返す肛門周囲膿瘍などで見つかることもあり小児期では重要な症状と考えられています。

診断に必要な検査

血液検査や各種画像検査などを行いますが、最終的な診断のためには内視鏡検査が必須になります。当院では臨床経過と症状、血液検査や画像検査から疑わしい病気を想定し、内視鏡検査を行うか判断します。潰瘍性大腸炎では主に上部内視鏡検査・下部内視鏡検査を行いますが、クローン病は小腸の病変の確認が重要になりますので、上部内視鏡検査、下部内視鏡検査に加えてカプセル内視鏡検査を行います。 内視鏡検査では組織を採取し、顕微鏡で確認する病理学的検査を行うことで診断を確定します。

治療

炎症性腸疾患の治療は日々進歩してきています。初期の治療の基本は潰瘍性大腸炎の場合、ステロイドや免疫調節薬を用いますが、クローン病では成分栄養剤が治療として使用されます。最近では生物学的製剤の適応が増え、以前よりこれらの疾患の治療成績は高くなってきています。それぞれの疾患や重症度により治療が異なる部分もありますが、しっかりと炎症を抑えて、維持するという考え方は共通しており、お薬をしっかりと使いながら、通常の日常生活を送れるようになることが目標となります。
当院では小児における潰瘍性大腸炎やクローン病のお子さんを、杏林大学炎症性腸疾患包括医療センターの消化器内科医や、国内の小児消化器科の医師と連携をとりながら、診断と治療を行なっています。 潰瘍性大腸炎やクローン病は国が指定する難病であり、簡単な病気ではありません。お子様、ご家族ともに不安を抱えていらっしゃると思いますが、可能な限り寄り添った治療を心がけてまいります。

機能性消化管障害(過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア)について

機能性消化管障害で代表的な病気として、過敏性腸症候群と機能性ディスペプシアがあります。過敏性腸症候群は脳腸相関と言われ、環境や社会的ストレスが原因で腹痛を生じる事が分かってきています。特に学童期や思春期では身体や心の成長の変化が激しい時期のため、周囲の環境の変化に自分自身がついていけないことがストレスとなっている場合もあります。このようなストレスが長引く腹痛につながる可能性があり、不登校となってしまうお子さんも少なくありません。 機能性ディスペプシアは長引く食後の胃もたれ、排便に関与しない胃の痛みなどがあります。診断は臨床症状に加え、内視鏡検査で他の原因がないかどうかを確認します。近年では機能性ディスペプシアも過敏性腸症候群同様、脳腸相関が関与していることが言われています。 当院では症状や治療の経過に応じてストレス以外で起こる慢性腹痛の原因を検索し、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアを疑う場合は症状にあった薬物療法(漢方、消化管機能調節薬、プロバイオティクスなど)や場合により心理カウンセリングも併せて行なっていきます。 機能性消化管障害では、腹痛がなかなか改善しないため、ご本人もご家族も悩まれていると思います。簡単に良くなってくれる病気ではありませんが、ご本人やご家族と相談しながら適切な治療を一緒に模索していけたらと考えております。