腎臓外来について

小児の腎臓疾患について

腎臓外来について

 腎臓外来では主に尿の異常や水腎症などの先天性尿路異常、夜尿症についての診療を行っています。
腎疾患は血液検査のみでは診断は難しく、全身症状が出ないこともあります。そのため、対応が遅れると腎臓の機能が損なわれてしますことがあります。このために重要なことは早期に発見と適切な治療です。

毎週火曜日午後 担当医 楊國昌、倉山亮太
毎週水曜日午後 担当医 羽田伊知郎

学校検尿について

 1969年度の調査において小・中学生の約15%が腎臓病で年間50日以上の長期欠席を余儀なくされていることが判明しました。また、1972年に旧厚生省児童家庭局が全国900施設に実施した調査においても腎臓病の患者は約1万3千人にいたと報告されています。このような実態を背景に、腎臓病の早期発見、早期治療を目的として1975年より全国の小・中学生全員に学校検尿が義務付けられることになりました。以来40年に渡る学校検尿は、腎臓病によって末期腎不全にいたる児童を減少させ、様々な腎疾患の病態解明に大きな役割を果たしてきました。
学校検尿には3次検尿である集団精密健診までを行うA方式と2次検尿以降を学校医や主治医が行うB方式があります。杉並区、中野区ではA方式が採用されており、3次検尿で異常が指摘された場合は指定された医療機関でさらなる精密検査を行う必要があります。
当院は東京都予防医学協会の3次検尿異常者の受診指定医療機関となっています。

尿検査異常について

 学校検尿では潜血、蛋白尿、尿糖について検査を行います。当院では精密健診としてさらに血液検査、超音波検査などの精査を行い、治療が必要な疾患であるかの診断を行っていきます。必要に応じて腎生検を行い診断していきます。

血尿を認める主な疾患
  • IgA腎症
  • 膜性腎症
  • 膜性増殖性糸球体腎炎
  • 感染後急性糸球体腎炎
  • 遺伝性腎炎
  • 膠原病などによる腎炎
  • 腎尿路系感染症
  • 水腎症
  • 腎・尿管結石など
蛋白尿を認める主な疾患
  • ネフローゼ症候群
  • 巣状糸球体硬化症
  • 慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)
  • 感染後急性糸球体腎炎
  • 尿細管性疾患
  • 起立性蛋白尿
  • 一過性蛋白尿など

治療に関して

 疾患に応じて薬物の選択を行っていきます。短期のみの治療で済むもの、長期的な治療が必要なもの、治療の必要のないものがあります。

3歳児検尿について

 1961年に児童福祉法が一部改訂され、その一環として3歳児健診での尿蛋白検査がはじまりました。その後母子保健法に移行し現在の3歳健診での検尿制度が実施されるようになりました。
 3歳児健診では腎炎の発見はまれであり、生まれながらの腎臓の形成異常や機能異常(先天性尿路疾患)の発見が主な目的となります。しかし、これらの異常は尿所見だけでは診断が困難であり超音波検査や血液検査が必要となることがあり、現行のシステムのみでは十分とは言えないのが現状です。東京都は3歳検尿異常者に2次検査、3次検査を行うことで先天性尿路疾患を早期発見するシステム構築を行っています。3歳健診で尿異常を指摘された場合には当院でも検査を行うことが可能となっています。

受診時のお願い

 腎疾患の診断では尿検査が重要となります。このため、尿異常を指摘されての受診の場合にはできる限り早朝尿の持参をお願いいたします。受診時に持参する容器がない場合には当院受診時に採尿を行いますので受診直前に排尿しないように注意して下さい。受付前に行く場合には受付にお声かけをお願いいたします。