病理診断科

検査

項目 詳細
細胞診診断 体の一部を綿棒でこすったり、しこりに細い針を直に刺して細胞を吸い取り、顕微鏡で観察して良悪性を振分けます。典型例であれば良性と悪性の見きわめは可能ですが、判断に悩む症例は少なくありません。1~2日程度で結果が出ます。
生検組織診断 細胞とそのワク組みを含めた『組織』というものを採取します。ほとんどの場合、この生検で良悪性の判断が可能です。この時点での診断を確定診断あるいは最終診断と言います。
免疫染色 生検診断の補助診断として免疫染色を活用します。形態診断は時に主観的な側面を持っていますが、免疫染色により診断に客観性と再現性が担保できます。また、腫瘍がどのくらいの悪性度なのか、ホルモン療法の効果があるのか、化学療法が効くのかどうかを判定し、その後の治療計画の判断材料になる場合もあります。
手術中の迅速診断 手術による患者さんへのダメージを最小限にするために、『病変はとりきれているか?リンパ節に転移はないか?』を手術中に確かめる場合があります。手術は時間が限られているので、本来であれば2日ほどかかる検査を10分から15分以内に結果を出さなければなりません。迅速に進めるために特殊な機械や検査技師の優れた技術が要求されます。
手術材料の診断 手術材料を3~5mm間隔でスライスして、病変ののつまびらかな姿を明らかにします。術前診断と合うかどうかやどの程度の悪性度なのかはもちろんのこと、腫瘍の大きさ、周りへの拡がり方、リンパ節転移の度合い、から病期を決めます。病期が判れば、統計学的見地から今後の病気の進展度が予想で、術後の治療方針立案に役立ちます。
病理解剖 病院で病死された方のご遺体を解剖させていただくのが病理解剖です。死体解剖保存法の規定に基づいて執行されます。できるだけ目立たないようにおからだを切開し、診断に必要な臓器を取り出して2時間ほどで終了します。肉眼所見からわかったことは解剖終了時に主治医から説明されますが、顕微鏡所見を含めた最終診断を下すには数ヶ月を要します。生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどのくらいあったのか、死因は何か、といったことを詳細に調べます。診断結果は治療に関わった臨床医とは別の第3者的立場である病理医が判断し、主治医に報告するほか、症例によっては検討会を開催して討議しています。
病理解剖は残念ながら故人に直接役立つことはありませんが、一例の病理解剖から主治医をはじめ、医療関係者が学ぶことは数限りなくあります。病理解剖を行なうことにより、病院で行われている医療の質が検証されます。さらに、病理解剖の結果が蓄積されることによって、他の方法では得がたい医学の進歩への貢献が期待されます。